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2015年02月16日 [法律]

民法(債権法)改正 履行障害法 不履行の体系 瑕疵担保責任制度消滅?その1

以下は先日さるご高名な先生のご講義を聴講する機会を得た。久しぶりに本格的な講義を聴かせていただいた。以下は先生のご講義から得た私の理解をお披露目するもので間違いはすべて私の責任です。疑問に感じた熱心な方は私では能力的に限界ですのでご自身で更に研究を深めていただきたい。
今回の改正については解説本でも逐条式に解説されていることが多いことから、よくある条項の修正かと思われるかもしれないが、今からご説明するいわゆる【不履行法の体系=履行障害法】の分野については今までの理論とは全く異なった改革がなされていることがわかった。特に今までの瑕疵担保責任というものは消滅する事になったので、不動産業界などでは契約書の書換等の重大な影響を及ぼすものと考えられる。

売買の目的とされる建物が滅失した。売主と買主の法律関係は?というお題で説明してみる。これまでの議論は当該建物は特定物であって、滅失が契約締結前か後か。災害か誰の責任か。を検討し 債務不履行・担保責任 原始的不能・履行不能 危険負担 という国民の皆さんに馴染みのないテクニカルタームのオンパレードとなる。今回の改正はいわば法律家向けの民法を改正して国民にとってわかりやすいルールにするという重大改革しよと言うものである。
ルールは単純で契約解除と損害賠償である。それは民法(債権関係)の改正に関する要項仮案(以下特に説明しない限り本要項仮案を指す)で確認する。
@⇒買主は、契約を解除することができる(第12 2(1)、第30 5)

A⇒買主は、売主に免責事由がない限り、損害の賠償を請求することができる(第11 1,第30 5)

ところで以上を定める第30 5は何のためにあるのだろうか。ということになるが、これは重大な意味があり、現在の570条をやめにして一般原則通り、契約解除と損害賠償請求ができるということは何を意味しているのかというと、瑕疵担保責任の制度をなくすということを意味している。のである。

さらに第12 2(1)ではこれまでの解除の要件であった「債務者の責めに帰すべき事由」という言葉が出ていない。これは⇒新しい契約解除のルールは、債務者の責めに帰すべき事由があるかないかに関わりなく、契約の解除を認めることにする、と言うルールを意味している。
また第11 1では「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償請求をすることができる。但しその債務の不履行が、契約その他の当該債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」する。これは、契約その他取引上の社会通念に照らして帰責性ありと言うときは、例え不法行為法的にみれば過失がないと認められるときでも損害賠償しなければならない場面があるということが、この但し書きの言葉の変更によって表現されているのである。また、但書き、のみを見ると「債務者の責めに帰すべき事由」という、今の表現と同じものが出ているのであまり変わらないように受け止めがちであるけれども、実は「免責事由」という新しい概念が登場してきているとみるべきものである。
つまり免責事由を主張立証しない限り、債務者は損害賠償責任を免れないと言う新しいルールがここで提案されていると言うことになる。

以上の通り、履行障害法の改革の眼目は、これら2つのルールで簡単明瞭に処理しよう。そのことによって国民から見て見通しの良いルールとして再編成しようとしている。以下各論だが今回はここで終了いたします。



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