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2015年03月09日 [法律]

沢田亜矢子の「会いたい」の替え歌問題



今日(3/9)朝の番組(とくダネ!)で沢田亜矢子の「会いたい」の替え歌問題を扱っていた。作詞家が問題にしているのはいろいろあったが その中の一つに、バラエティー番組で、替え歌「安定したい」を歌った点を問題にしていた(このバラエティー番組は私も見ていたと思う)。この問題は、著作権の中の著作者人格権という権利に関わる問題である。著作権と言う言葉は聞き慣れた言葉であるが、この著作権は財産的な著作権と著作者人格権の二つから成り立っており、さら著作者人格権は
ア 公表権・・・著作者がまだ公表されていない自分の著作物を公表する権利(公表す         るかしないかを決めることが出来る権利)
 イ 氏名表示権・・・著作物を公表するに当たり、氏名を表示するかしないか(実名にす          るか変名にするかも含め)を決めることが出来る権利
 ウ 同一性保持権・・・著作者の意に反して、著作物の改変をすることを禁止する権利
から成り立っており、今回はこの同一性保持権が問題となっているわけである。

ただ今回の替え歌の「安定したい」は著作物の改変と言えるのであろうかとの疑問もある。沢田さん側から全く別物の著作物という論法も出てくるだろうと予想されてその判断は大変興味深い。因みに「安定したい」の内容は次のような内容とされている(ネット情報で不確かです)。
曲が売れた収入で
目黒のマンション手に入れ
すぐにバブルがはじけた
当時の買い値は
7000万 そして
売り値は2000万
殺意覚えた
契約決まり売却
業者にお願いしたよね
「振り込みしてよね」と
半分払って 半分持ち逃げ
騙された
ヒット一曲あっても庶民的
印税まるでないと
知ってしまったの
カラオケ みんなが歌って
いっぱい お金 入るって
全く ウソじゃない
歌手は一銭も もらえない
泣きたい

これははたして「会いたい」歌詞の改変と言えるのであろうか。改変と言うにはもはや原形をとどめていないのではなかろうかと言う疑問が生じる。ここまでの替え歌を著作者人格権の侵害と言うには、著作権の複製権・翻訳権の侵害がなければ同一性保持権侵害と言えないのではなかろうかと言う理論的な問題になるかもしれないと考えられるのである。ところで改変と言うことでわかりやすい裁判例としては、東京地判平成11.8.30「どぎまぎイマジネーション」事件というのがある。これは原告はコナミ(株)で、被告は「シェーン」の名でアニメーション、実写、パロディ関係の作品を企画、制作、販売している個人で、コナミが著作権を有するコンピュータ用ゲームソフト「ときめきメモリアル」(ゲームソフト)の主要登場人物である女子高校生Aは、本来、清純で、さわやかな印象を与える性格付けがなされていたが、これを被告が改変しその女子高校生Bが男子生徒との性行為を繰り返して行うという露骨な性描写を内容とする成人向けアニメーションに改変、制作したという事案である。この裁判では著作者人格権侵害を認定する前提として(なのかどうかよくわかりませんが)「本件ビデオに登場する女子高校生Bの図柄とAの図柄を対比すると、容貌、髪型、制服等において特徴が共通しているから実質的に同一であるといえ、BはAを複製ないし翻案したものと認められるので、Xの著作権(複製権、翻案権)を侵害する」として、それを受けて著作者人格権を侵害しているとして200万円の損害賠償を認容しています。別の見方をすればここまで替え歌が原形をとどめない場合には作曲家の方が変な歌詞(替え歌)をつけられたという問題も考えられることになります。これはどういう問題になるのか浅学の私にはわかりません。


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