長崎県佐世保の弁護士ブログ | 佐世保 長崎県北(平戸市・松浦市)を拠点とする弁護士(松尾茂利法律事務所)です。

松尾茂利法律事務所
故郷、佐世保の皆様に誠心誠意ご奉仕します。

Blog

2016年08月11日 [法律]

「特定行政書士」制度

第1
平成27年12月、「特定行政書士」という制度が開始された。この制度は一定の要件を満た
した行政書士に対し行政不服申立て手続に関する代理権を付与すると言う制度である。この
制度に対し、弁護士サイドからは弁護士の職域を侵すものとしてネガティブな意見もあるが、
私見では、行政事件の掘り起こしという観点から、ポジティブな意味合いを持たせて良いの
ではないかと考えている。むしろ弁護士サイドにおいて、こうやって行政書士が掘り起こし
た事件を、場合によってはむしろ適切に共同対応できるか否かが問われることになろうかと
考えている。
ところでこの「特定行政書士」という資格において、行政書士会はどういうところにその
活動を拡張しようとしているのだろうかということが気になるところであるが、筆者がネッ
ト上等で見る限りあまり明確なものは見えてこない。唯一それと分かるものと言えば、日本
行政書士連合会が作成した平成28年度の「特定行政書士になろう」というポスターである。
それには特定行政書士として扱えることとなるっであろう3つの事例が例示掲載されている。
その詳細は長くなってしまうのでここでは省略させていただくが(https://www.gyosei.or.
jp/news/specific.html)、これら3つの例において具体的にはどういう業務になるのかのに
ついて筆者なりのイメージをお伝えする。
第2
1 その1例目に挙げられているのが難民不認定に対する不服申立(審査請求)の事例であ
る。当職が知る限りこの事案処理の最大のポイントは「限られた時間」よいうことであ
ろう。すなわち、出入国管理及び難民認定法によれば、難民の認定をしないという通知
を受けた日から7日以内に審査請求をしなければならないと決められている。このわず
かな時間で、難民不認定のどこに問題があるのかについて客観的な事情、主観的な事情
を整理して具体的に指摘しなければならないというのが最大の壁であろう。もちろん語
学力の問題も生じる。
2 2例目に挙げられているのが建設業許可申請の不許可処分である。しかしながらこの
事例の設定についてはちょっと首をひねってしまう。すなわち専門家たる行政書士に相
談し、許可取得可能と判断されるにもかかわらず許可が下りないことはあるのだろうか
と言う感想を持つのである。むしろこの分野では建設業法28条の指示及び営業の停止、
同29条の許可の取消、29条の4の営業の禁止あたりが「特定行政書士」の出番にな
るのではなかろうかと考えている。但しこの場合は、差止訴訟も念頭におく必要がある
ことも考えると弁護士との共同作業を検討することになろう。
3 3例目は産業廃棄物処理施設の設置許可申請の不許可事案で自治体が周辺住民の同意
書の提出を許可要件としていることに疑義があると言う問題である。しかしこの種の問
題が不服審査請求の問題になるのかと言う問題はあるかもしれない。この点は筆者の勉
強不足かもしれない。しかしながら重要かつ深刻な問題であることは間違いなく、この
問題も弁護士との共同作業が不可欠な分野になるものと考えられる。
第3
以上ポスターに挙げられた3つの例については、この通りであるが、かかるイメージの方
向ということであれば行政書士のみならず弁護士も各種行政事件の対処法についてそれぞれ
研鑽を積まなければならないことはもとより、その共同のあり方についても議論を積み重ね
ていく必要があるということは明かであると思われる。しかしこの方向性はあまり耳にした
ことはないのは筆者が日本最西端の田舎にいるからであろうか。かかる行政事件は日本全国
で(相当の量で)起こっているものと考えられるものであることからすれば、(田舎だから)
無関係な事件とは言えないものと思われるのである。


PageTop