4 会社法務|佐世保 長崎県北(平戸市・松浦市)を拠点とする弁護士(松尾茂利法律事務所)です。

松尾茂利法律事務所
故郷、佐世保の皆様に誠心誠意ご奉仕します。

会社法務のQ&A 法務を知らないと会社が危ない

質問 うちの会社はおかげさまで業績好調なのですが、あるアルバイトの子が、ミスを繰り返して商品をダメにするは、遅刻をするは、というものだから罰として1ヶ月分給料を払わないこととし、本人も納得していました。
 やがてその子は退職しましたが、今になって未払給料だから払えと言ってきました。
 特に証拠は取ってなかったのですが、こんなやつには払いたくないのでほっとおいていいですか?
回答 ダメです。せっかく会社が好調なのに大変なことになるかもしれません。
その1 
 未払い賃金の問題は、単なる民事問題だけでなく、放置すると刑事告発の問題が出る可能性があります。大きな社会問題になります。
その2
 支払時期から年14.6パーセントの高率の遅延損害金が課されますし、場合によっては付加金と言って未払い分と同額の罰金のようなものの支払いを命じられる危険性もあります。

適切に対応するだけの準備ができていなかったようです。会社の労働関係に関する法務チェックを検討されてください。就業規則があればいいというものではないのです。
質問 そろそろこの会社を長男に継がそうと思っています。ところが子供も3人おり、しかもこの長男とはあまり仲が良くありません。どんなことを考えなければならないのですか?
回答 その1
まずは誰に会社を承継させるかです。承継人は長男さんと言うことですが、もしまだ力量不足であれば、いったん番頭さん格の役割の方に承継するとか言うことも考えることになります。
その2
承継問題の一つの鍵は株式の相続対策ですが、会社法の各種の株式を利用して、財産だけが欲しい人の株式の準備と、支配権が欲しい人の株式の準備、また急に長男が反目しないように拒否権付き株式を創業者は最後まで保持するなどのことを考えることになります。
その3
税務問題。これは説明は不要でしょうが重要な問題です。支払い資金の準備ができていないと相続問題が混迷の度を深めます。
質問 うちはかわいいキャラクターを使った文房具の製造・販売をしている小さな会社です。先日大手文具メーカーの社員であるS君がうちのキャラクター文具を大変気に入ってくれて「大々的に売り出すので量産してくれ」と言ってくれました。何か注意する点はありますか。
回答 大いにあります。
こういった場合に書面化を何らしていない場合、泣き寝入りさせられる危険性があります。問題の事例では後日S君は会社を辞めており、上司に掛け合ったところそんなことは聞いていないの一点張りでどうしようもないということでした。仮に裁判所に提訴してもそんな大事なものをどうして契約書にしなかったのかと疑問の目を向けられるだけで契約の存在を証明するのは相当困難だと思います。経営者の目線のみならず法務顧問の目線も必要です。
質問 あるインターネット掲示板に、わがA社の新しい商品を企画したB部長は詐欺の前科がある。こんな奴が企画した商品なんかクズ同然。絶対買うな 。という書き込みがありました。どのような対応方法をすればよいのですか。
回答 裁判手続きと裁判外の手続きが考えられますが、ここでは裁判外の手続きについてお話しします。
@まずホームページやインターネット掲示板等をプロバイダー等を特定します。
A弁護士法23条の2に基づく弁護士会照会を使って当該プロバイダー等に発信者情報を開示するよう請求する。
Bプロバイダー制限責任法に基づいて当該プロバイダー等に発信者情報を開示するよう請求する方法もあります。
C発信者情報が入手できたらそのものに対する直接の削除請求・損害賠償を行います。
Dプロバイダー等に対して削除請求をする。
ということになります。
Eその他逆SEO対策で被害を食い止めると言うことも併せて実施することが考えられます。
質問 中小企業に対する融資に関し、経営者は保証をしないですむ場合があると言うことを聞きましたがどういう内容ですか。
回答 平成25年1月に、中小企業庁と金融庁が共同で「中小企業における個人保証等の在り方研究会」を発足させ、その研究会で、中小企業における経営者保証について、契約時の課題と履行時等における課題の整理が進められました。そして、平成25年12月5日、中小企業の経営者保証に関する契約時及び履行時等における中小企業、経営者及び金融機関による対応の準則として、「経営者保証に関するガイドライン」が策定・公表されました。

1 中小企業が資金調達をしようとする場合
 本ガイドラインによれば、一定の状況を満たす中小企業について、経営者を保証人とすることなく融資を受けられる可能性が高まりました。一定の状況というのは、以下のとおりです。

(1)企業と経営者の関係が明確に区分できていること
 企業の業務、経理、資産所有等に関し、企業と経営者の関係を明確に区分し、企業と経営者との間の資金のやり取りを適切な範囲にとどめるような体制を構築されていること。

(2)一定の信用力を有していること
経営者を保証人としなくとも企業に一定の信用力が備わっていること。具体的には業績の向上。業績が向上すれば、返済能力が高まりますので、現状内部留保に乏しくても、金融機関としては、順調な返済を期待できる。

(3)経営の透明性が確保されていること
 金融機関から、資産等の状況、事業計画の進捗状況等を明らかにするよう求められた際に、企業側が正確かつ丁寧に、信頼性の高い情報を開示、説明する体制にあること。なお、情報の信頼性を高めるために、外部専門家による検証を経た情報を提供することが望ましいとされています。

フランチャイズ契約・加盟の注意点

第1
「月商600万円は固いと勧誘されたのに、実際経営を始めてみると月商300万円にも達しない。家賃や人件費を差し引くと、利益が全く残らない。」と言う問題

(フランチャイズ本部側への提言)
フランチャイズ本部は、契約に際し加盟希望者に対して客観的な根拠や合理性に基づく収益予測等の情報を提供しなければならない(大阪地方裁判所判決平成22年5月12日)

(加盟店(希望者)側への提言)
収益予測等の情報が客観的な根拠や合理性に基づくものか専門家の意見などを聞くなどして十分に吟味すべき。

第2
「契約前の説明では、月1回の訪問指導があるということだったが、何かのついでにたまに不定期にやってくるだけで、しかも内容は雑談程度ですぐに帰ってしまう」と言う問題

(フランチャイズ本部側への提言)
フランチャイズ本部は、加盟店に対し、定期的に一定の経験・知識・能力のある指導員による適切な経営指導を行わなければならない(東京高等裁判所判決平成21年12月25日(なおこの判決はフランチャイズ契約の勧誘を詐欺行為であると断罪している判決でもある))

(加盟店側への提言)
  契約書中にこのような本部の義務が明記されているかを確認して、もし抽象的なことしか書かれていなくても、このような経営指導義務が尽くされているかどうか普段から十分にチェックして記録しておくこと。

第3
「いわゆるオープンアカウントシステムのため、加盟店には売上金の資金運用権がなく、また加盟店からみてオープンアカウントの会計処理が正しく行われているのかわからない

(フランチャイズ本部側への提言)
コンビニエンス・ストアのフランチャイズ本部が,加盟店に代わって支払った商品仕入代金の具体的な支払内容について,加盟店に報告すべき義務を負う( 最高裁判所第2小法廷判決 平成20年7月4日 )

(加盟店側への提言)
商品仕入れ代金額を知ることは経営者として必要な情報です。もし開示されていなければ報告を求めるべき。

第4
フランチャイズ契約締結に際してのその他の重要な注意点
1近隣出店に関する条項
 2中途解約や更新拒絶についての条項
3違約金条項
 4保証人条項

法務・会計・経理等に関するセカンドオピニオンサービス

セカンドオピニオンとは、最善の決断をするために当事者以外の専門的な知識を持った第3者に意見を求めることです。
・相談や質問に対する対応が遅い。
・対策を提案してくれない。
・その料金は適正な範囲なのか
・どうもその対応の内容に納得が出来ない
・他の方法がないか調べたい
・念のため他の意見も聞きたい

等の場合、当事務所において会計士・弁護士(場合によっては共同)によるセカンドオピニオンサービスをご提供しております(要予約)。

貴社の営業秘密は法律で守ってもらえるか

企業における営業秘密には、具体的には、製品の設計図、商品・製品の製法、顧客名簿、販売マニュアル、製法マニュアル、原価やマージンなどの情報などが考えられるが、これらの情報であればそれだけで「営業秘密」であると認められるものではありません。ここに「営業秘密」として認められないという意味は、これらの情報を持ち出した人に対して刑事上の責任も民事上の責任も問えないという意味です。泣き寝入りせざるを得ないと言うことになります。
「営業秘密」として法的保護を受けるためには「秘密として管理されている」(不正競争防止法2条6項)と言うことが必要です。これが認められるためには、
1 
その情報が秘密として管理されていると客観的に認められる状態にあること
2 
その情報が事業活動に利用されて有用なこと
3 
その情報が一般的に入手できない状態にあること
の3要件が満たされることが必要です。

老人ホームの法務 入居一時金

有料老人ホームにおける入居一時金の有効性についての裁判例が
福岡地方裁判所 平成26年12月10日判決
で出ました。
この判例の被告は有料老人ホームや高齢者専用住宅の運営等を業とする大手株式会社です。主な争点の一つとしてその会社が運営している老人ホームの入居契約書中のいわゆる入居一時金条項が消費者たる入居者の権利を害するもので無効ではないかと争われました。
どういう問題かというと、有料老人ホームへの入居については、数千万円の入居一時金を徴収する施設も多く、この老人ホームもそうだったのです。この入居一時金というものは、入居者が、施設の居室等を原則として終身にわたって利用し、各種サービスを受け得る地位を取得するための対価としての性質を持っているとされています。したがって入居者が途中で退去することとなった場合、その差額を返還してもらうと言うことになるわけですが、この返還範囲に関わる返還条項が消費者の権利を害するものであり消費者契約法10条で無効なのではないかと言うことが争われたのです。
この返還範囲については、施設によってばらつきがありますが、通常初期償却条項というものが定めてあり、入居したら直ちに返還に応じられないという条項があるのが普通です。この初期償却の割合が20lという場合、例えば入居一時金が2000万円だったとしたら、その20lである400万円は返還されないこととなるわけです。これは消費者の権利を害するものではないかと言う点と、残りの1600万円については償却期間を決めて毎年償却する(施設側の収入とする)という方法がとられますが、この施設では入居時の年齢にかかわらず一律15年(180ヶ月)としている点も消費者の権利を害するのではないかと争われました。
そして福岡地方裁判所は、上記の入居一時金条項は消費者契約法10条に該当しないとして、当該条項の有効性を認めました。
まだ地裁レベルの判決なので、この問題が決着したと言える状況ではないにせよ、合理性を持つ条項でなければこの判決で述べられる論旨も妥当しないはずであり(条項を持っていなければ論外)、更に本件では争点になっていなかった説明義務の問題も今後の大きな課題になると思われる。
なおこの判例は有名企業で有り、判旨では述べていませんが、全体として契約書は整備されており、説明もしっかりなされていたものと推測されます。