2相続・ワンストップサービス|佐世保 長崎県北(平戸市・松浦市)を拠点とする弁護士(松尾茂利法律事務所)です。

松尾茂利法律事務所
故郷、佐世保の皆様に誠心誠意ご奉仕します。

相続問題と争族問題

「うちには財産なんかないから、相続なんて関係ない」と思っている人が割合と多いかもしれません。相続税がかからなければ問題はないということかもしれません。しかし、相続問題は必ずしも相続税の有無とは関係ありません。たとえば、父親が亡くなって相続が発生したとします。相続人は母親と長男、次男。長男夫婦は父親名義の家で母と同居しています。次男は結婚して賃貸マンションに住んでいます。財産としては父親名義の家の他にはありません。そうすると、1軒の家を母親、長男、次男の3人で遺産分割するわけですが、売却しない限りすっきり分けることはできません。しかし、売却すれば、母親と長男夫婦の住む場所がなくなってしまいます。売却した金額の母親と長男の相続分で新たに家を買おうとしても、相当住環境が変わってくる可能性が高い。かといって、売却しなければ次男に遺産を分けることはできません。こうして遺産分割を巡って誰にでも相続争いが起きりうるということになるわけです。
しかもこれに後継者承継の問題がからむと相当複雑な問題になります。

できうればこんな事にならないように事前に遺言の相談をお勧めします。

またこのようにあらかじめ遺言が準備できていない場合でも第三者たる弁護士に委任して透明性を高めて相続が争族にならないようすることをお勧めします。
 とりわけ医療法人(出資持分あり)等の場合には早めの準備をしないと対策が間に合わないことがあります。
 

相続の大まかな流れ

一例です。相続税申告前に遺産分割協議がまとまらないことはよくあることです。
         
被相続人が亡くなる              
      ↓                  
遺言の有無を調査する。
   自筆証書遺言であれば家庭裁判所ですみやかに検認手続を行う。
   公証人役場において被相続人作成による遺言がないか検索する。         
      ↓
相続人の範囲を確定する・・相続関係説明図の作成          
      ↓
遺産の範囲を確定する・・・財産目録の作成
       ↓
遺産を「遺産分割時にできる限り接近した時点の時価」で評価する。     
      ↓
限定承認・相続放棄の手続( 死亡を知った日から3か月以内)
             
      ↓
遺産分割協議をする             
      ↓
遺産の分配・名義変更を行う     
      ↓

相続税の申告・納付(10か月以内)  (但し、相続税が発生しない場合は不要)
     

相続・相続税対策のワンストップサービス

相続(相続税・いわゆる争族の回避・納税資金の確保・節税)に関する公認会計士(税理士)・弁護士によるワンストップサービスを始めました。相続問題を税務・法務の両面からサポートいたします。どうぞご利用ください(経営承継円滑化法に基づく計画を含む)。
ワンストップサービスの受付は松尾法律事務所まで 電話0956−24−4081
提携先 松尾真也会計事務所

Q&A 2 香典・弔慰金の相続財産性

質問 喪主である長男が香典・弔慰金から葬儀費用を差し引いた残りは自分のものだと言って分配しません。法律的にはどうなるのでしょうか。
回答 葬儀の際の香典の性質は、相続財産ではなく、遺族に対する扶助の精神にもとづき葬式費用の一部を負担するものであり、一般的には喪主に贈られたもの解されます。したがって、残念ながら相続財産とはなりません。あらかじめ残余金の使途を相続人で話し合っておくべきでした。

Q&A 3 葬儀費用の支払と相続財産

質問 葬式費用は、香典等から支払うべきものですか。相続財産で支払うべきものですか。相続人が支払うべきものですか?
回答 葬式費用については、債権者(寺院や葬儀業者等)の先取特権(他の債権者に優先して、支払いを受ける権利)が相続財産等の上に成立すること(民法309条)、および相続税の控除の対象となること(相続税法13条1項2号)が規定されているくらいで、誰が負担すべきか定めた法律の規定はありません。
 そこで、誰が負担するかが問題となります。学説や裁判例の傾向からすると、葬式費用はまず香典で賄い、その不足分は相続財産の中から支払い、さらに不足するときは相続債務に準じ、その相続人が相続分に応じて負担すべきものと考える見解が有力だと考えます。

お墓や仏壇は相続財産ではない?!誰が承継するの?

お墓や仏壇は相続財産ではありません。

1 特に祭祀財産を相続財産に含まると勘違いしている相続人がいると、紛争の種になりやすいので注意が必要です。お墓や仏壇を守っていくのは相続とは関係ないのです。相続放棄をした人でも祭祀財産の承継者となることができます。

2 祭祀継承者とは祭祀財産の承継者のことで
民法897条では、系譜、祭具及び墳墓などの所有権は、祖先の祭祀を主宰すべき者が承継し、相続の対象にはならないとされています

  @系譜とは、家系を書いた系図やこれに類するもののことです。
  A祭具とは、仏像、位牌その他礼拝又は祭祀の用に供するために必要な用具で、仏壇、 神棚およびこれに付属した用具一切が含まれますが、仏間のように、建物の一部になつているものは含まないとされています。
  B墳墓とは、遺体や遺骨を葬ってある墓碑、埋棺、霊屋などの設備のことです。


3祭祀承継者は次の方法により決められることとされています。
 @ 被相続人の指定がある場合には、その指定された者が祭祀を承継します。この指定は、遺言ですることが一般的ですが、生前に口頭で指定してもかまわないとされています。
 A 被相続人の指定がない場合は、慣習に従って承継者が決まります。
 B 被相続人の指定もなく、慣習も明らかでない場合は、家庭裁判所の調停・審判で決められます。

家庭裁判所では以下のことが考慮されるとされています。
「承継候補者と被相続人との間の身分関係や事実上の生活関係、承継候補者と祭具などとの間の場所的関係、祭具などの取得の目的や管理などの経緯、承継候補者の祭祀主宰の意思や能力、利害関係人全員の生活状況および意見などを総合的に判断すべきであるが(中略)、祖先の祭祀は、今日もはや義務としてではなく、死者に対する慕情、愛情、感謝の気持によってなされるべきものであるから、遠い昔の祖先よりも近い祖先、つまり被相続人と緊密な生活関係・親和関係にあって、被相続人に対し上記のような心情を最も強く持つ者を選ぶべき」

4 祭祀財産の承継の特色
@祭祀財産の承継については、相続税の対象から除外され課税されません。
A遺産分割に際して、祭祀を承継することを理由に、遺産を多く取得することを求める当事者がいますが、遺産の問題とは関係ありません。
B 被指定者は辞退・放棄はできないが、祭祀承継者が今後祭祀を営むかどうかは、その者の自由であって義務ではない。また、承継した祭祀財産を処分することも自由。

親なきあと 障害のある子供を守る工夫

親亡きあとに各種障害のある子供が生きていくための方策を考えるにあたっては、
いわゆる特定障害者についての特定贈与信託、成年後見制度などいくつかの方策がよく挙げられるが、前者については税金的な有利さは認められるにせよ、問題はその使い道であることが何ら担保されておらず、後者は、(実務を知らないと合点がいかないところはあるのは承知の下で)財産を守るだけであればよい制度であるが、本人に対する有益な投資を可能としない点が問題である。そこで信託契約を中心として各種制度を組み合わせて対応する方法を目指しております。相談事例的には以下のような典型事例になります。ただこの手の問題は非常に状況が異なるものなので個別にご相談してよりよいものを作り出していくほか方法はないのも事実です。ご心配の方の力に少しでもなれればと考えております。障害者ばかりではなく社会的引きこもり等についても応用可能だと考えています。
(典型事例)
私には知的障害のある娘がいます。娘はもう40歳を過ぎていますが、障害のため自分で働いて生活していくことは困難です。妻は数年前に他界しています。頼れる親戚はいません。娘の将来を少しでもよりよいものとしておくために何かできないでしょうか。

お願いだけではダメ。遺言書作成の必要性


Xさん(女性)から相談を受けました。私は介護施設職員でその介護施設に叔母さん(Aさ
ん)が利用されていました。この十数年、叔母さんの世話をし、叔母さんの全面的な信頼を
得ていました。そこでXさんは叔母さん(A)から次のようなことを頼まれました。
自分が死亡したら、自分の預金を使って
@お世話になった(他人の)Bさんに100万円を渡して欲しい
A葬儀代や将来の法事代を支出して欲しい
Xさんは完全にボランティアでこれまでも世話をしてきており、この頼まれごとも無報酬で行
うつもりでした。この頼まれごとは「遺言」という形にもされておらず口頭レベルでした。
そうしたところAさんは死亡しました。そこでXさんはAさんのお願い事を達成するためAさん
の預金通帳から100万円を下ろしてBさんに100万円を渡しました。次に葬儀代を支払おうと通
帳から下ろそうと銀行に行ったところ預金は凍結されていました。
どうすれば良いかという相談です。

結論から言うとXさん単独ではどうしようもありません。Xさんの相続人(8人いました。Xさ
んも知らない人もいます)全員の印鑑を揃えて銀行口座の凍結するほかありません。しかし
既にBさんに100万円を支払っているのでXさんは横領罪ということで相続人に責められるかも
しれません。という回答になりました。
Xさんは誠実な方でAさんの遺志を丁寧に実行しようとしたばかりにこういうことになりまし
た。適切な「遺言書」を作っておかないと「良い人」を「悪人」にしてしまうことになります。
頼む側も頼まれる側もこういう配慮がないとかえって迷惑な話になるという典型例です。

納得の老後・終活に当たって克服しておくべき課題

1 これからのお話の該当者・該当ケース 
これから行うお話しの該当者は、ご自身にとって信頼のできる配偶者・お子様等の相続権のある相続人がいるという場合を除く全ての場合ということになります。したがって、いわゆるお一人様も、配偶者やお子様等の相続権のある相続人がいらっしゃらないわけで、当然該当者です。その他、相続権はないけれども遠縁の姪っ子が熱心に介護をしてくれているというような場合も該当します。要するに、お世話をされる方と相続権を持つ方(これを推定相続人と言います)が一致しない場合は全て該当すると言うことになります。換言すれば、相続人より、現にお世話になっている人(もしくはお世話になろうと思っている人)に今後自分の老後を見てもらういたいという時に解決しておくべき問題ということをお話しするわけです。このようなケースは頻繁に起こりうることです。しかしその場合に起こる問題について備えてないケースがほとんどです。

2 その一 死後事務委任契約
いきなりですが、ご自身がお亡くなりになったとします。
@医療費、入院費・老人ホーム等の施設利用料等の精算手続きをやる人を決めていますか。誰かやってくれるだろうと安易に考えているとしたら、善意でやってくれた方にご迷惑をおかけすることは間違いなしです。
Aたとえやってくれる方を決めていたとしても、その人にやはり迷惑をかけることになりませんか。具体的にはそのお金はどうやって渡しておくのですか。銀行預金に入っているから大丈夫というご意見があるかもしれませんが、銀行預金は貴方が死んだら誰も引き出せないよう凍結され、遺産分割協議がまとまらない限り払い戻しできませんので簡単に精算はできません。また、その方が相続人であればいずれ立替分は回収できるかもしれませんが、もしその方が相続人でない場合にはどうやっていわばその立替金を回収するのですか?相続人が応じてくれなかったらどうするのですか?
Bそういう場合を見越して、先にお金を渡しておくとしても贈与税の問題は出るでしょう。その他、前もって預けておいた預り金を流用される心配はないですか?
以上の問題に対して、冒頭で述べたご自身にとって信頼のできる配偶者・お子様等の相続権のある相続人がいらっしゃる場合は大きな問題はありません。そうでない場合には上述の@〜Bの問題は重大な問題となってきます。
この問題を克服するツールが「死後事務委任契約」というものです。簡単に言うと「私が死んだらこれとこれお願いね」ということをあらかじめ取り決めておく契約です。形式を重視する喪主だけは親戚に依頼し、その他のことは死後事務委任契約で信頼の置ける方に依頼すると言うことも可能です。契約内容は完全にオーダーメイドで作成するほかありません。こういう契約を適切に結んで上の@〜Bの問題を克服していくのです。

3 その二(遺言との関係)
この死後事務委任契約と遺言とはどう違うのか、ということを疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、上述の死後事務委任契約の内容を遺言に書いても基本的に効力が発生しないのです。どういうことかというと遺言としての法的効力が生ずる事項は,民法などの法律によって限定されており、例えば先ほどの老人ホームの施設利用料を精算すべしと書いても原則的に効力は直ちに発生しないのです。効力が発生しないというのは、法律上の義務にならないと言うことで、そう書いてあることに自主的に従うことはあるにしても、従うべき法的義務はないのです。遺言として法的効力のある事項を遺言事項と言いますが、この遺言事項として典型的なのは、遺贈・相続分の指定・遺産分割方法の指定等の遺産分割に関する事項になります。結局死後事務委任契約と遺言とでは使用する局面が違うのです。お世話になった方に遺産を与える形で報いたいと言うことであればやはりこの遺言という方式を活用することになります。

4 その三(重度認知症などへの対策 任意後見契約)
老後から死亡まで何も起こらなければ問題ないのですが、やはりその途中での認知症のリスクは避けられません。そんなことになったら、家を出て日当たりの良い老人ホームにでも入居してのんびりしようと考えていたとしても、重度の認知症になったりするともはや入居契約でさえ締結することができません。このような場合に備えて、まだ元気なうちから信頼できる方を後見人に指定する「任意後見契約」を締結することをお勧めします。重度の認知症などの場合は裁判所による法定後見人選任で対応できるというご意見もあるかもしれませんが、その法定後見の場合はどうしても支出は必要最小限度に押さえると言うことになりますので、皆さんが思い描くような豊かな老後を送れるような施設に入居できる可能性はほとんどなくなるのです。例えば、そういう施設であれば入居一時金捻出のために従前の不動産売却等がどうしても必要な場合が出るかもしれませんが、これができうるのは現状では任意後見しかないのです。そして任意後見の場合、ご自身が「この人」と見込んだ人を後見人に指名できます。そういう方は普段からそのご高齢者とコミュニケーションをとられているので余生の生活のイメージを最も共有されている方になります。そういう方に後見人になってもらうのが最も相応しいのです。但しその任意後見人の資格については特段の制限がありません。任意後見人に就任して、思いもかけぬ大金を管理することになって変な気持ちが起きないとは限りません。そういうことに備えて任意後見ではこの任意後見人を監督する任意後見監督人という人を裁判所が選任することになっています。この任意後見監督人には法律家が選任されます。こうやって重度の認知症などの場合にもその高齢者の豊かな老後の生活を確保していくことになるわけです。
ところが、こういう対処をされていない方が実に多いのです。その場合、後日法律相談に来られても、上述のような準備をしていないために、今まで何の世話もしてこなかった相続人に半ば犯罪者呼ばわりされて泣く泣く手を引かれることになります。そういうことがないようにお世話になった方のためにもしっかりした対応をしてあげたいものです。