4 会社法務|佐世保 長崎県北(平戸市・松浦市)を拠点とする弁護士(松尾茂利法律事務所)です。

松尾茂利法律事務所
故郷、佐世保の皆様に誠心誠意ご奉仕します。

会社法務のQ&A 法務を知らないと会社が危ない

質問 うちの会社はおかげさまで業績好調なのですが、あるアルバイトの子が、ミスを繰り返して商品をダメにするは、遅刻をするは、というものだから罰として1ヶ月分給料を払わないこととし、本人も納得していました。
 やがてその子は退職しましたが、今になって未払給料だから払えと言ってきました。
 特に証拠は取ってなかったのですが、こんなやつには払いたくないのでほっとおいていいですか?
回答 ダメです。せっかく会社が好調なのに大変なことになるかもしれません。
その1 
 未払い賃金の問題は、単なる民事問題だけでなく、放置すると刑事告発の問題が出る可能性があります。大きな社会問題になります。
その2
 支払時期から年14.6パーセントの高率の遅延損害金が課されますし、場合によっては付加金と言って未払い分と同額の罰金のようなものの支払いを命じられる危険性もあります。

適切に対応するだけの準備ができていなかったようです。会社の労働関係に関する法務チェックを検討されてください。就業規則があればいいというものではないのです。
質問 そろそろこの会社を長男に継がそうと思っています。ところが子供も3人おり、しかもこの長男とはあまり仲が良くありません。どんなことを考えなければならないのですか?
回答 その1
まずは誰に会社を承継させるかです。承継人は長男さんと言うことですが、もしまだ力量不足であれば、いったん番頭さん格の役割の方に承継するとか言うことも考えることになります。
その2
承継問題の一つの鍵は株式の相続対策ですが、会社法の各種の株式を利用して、財産だけが欲しい人の株式の準備と、支配権が欲しい人の株式の準備、また急に長男が反目しないように拒否権付き株式を創業者は最後まで保持するなどのことを考えることになります。
その3
税務問題。これは説明は不要でしょうが重要な問題です。支払い資金の準備ができていないと相続問題が混迷の度を深めます。
質問 うちはかわいいキャラクターを使った文房具の製造・販売をしている小さな会社です。先日大手文具メーカーの社員であるS君がうちのキャラクター文具を大変気に入ってくれて「大々的に売り出すので量産してくれ」と言ってくれました。何か注意する点はありますか。
回答 大いにあります。
こういった場合に書面化を何らしていない場合、泣き寝入りさせられる危険性があります。問題の事例では後日S君は会社を辞めており、上司に掛け合ったところそんなことは聞いていないの一点張りでどうしようもないということでした。仮に裁判所に提訴してもそんな大事なものをどうして契約書にしなかったのかと疑問の目を向けられるだけで契約の存在を証明するのは相当困難だと思います。経営者の目線のみならず法務顧問の目線も必要です。
質問 あるインターネット掲示板に、わがA社の新しい商品を企画したB部長は詐欺の前科がある。こんな奴が企画した商品なんかクズ同然。絶対買うな 。という書き込みがありました。どのような対応方法をすればよいのですか。
回答 裁判手続きと裁判外の手続きが考えられますが、ここでは裁判外の手続きについてお話しします。
@まずホームページやインターネット掲示板等をプロバイダー等を特定します。
A弁護士法23条の2に基づく弁護士会照会を使って当該プロバイダー等に発信者情報を開示するよう請求する。
Bプロバイダー制限責任法に基づいて当該プロバイダー等に発信者情報を開示するよう請求する方法もあります。
C発信者情報が入手できたらそのものに対する直接の削除請求・損害賠償を行います。
Dプロバイダー等に対して削除請求をする。
ということになります。
Eその他逆SEO対策で被害を食い止めると言うことも併せて実施することが考えられます。
質問 中小企業に対する融資に関し、経営者は保証をしないですむ場合があると言うことを聞きましたがどういう内容ですか。
回答 平成25年1月に、中小企業庁と金融庁が共同で「中小企業における個人保証等の在り方研究会」を発足させ、その研究会で、中小企業における経営者保証について、契約時の課題と履行時等における課題の整理が進められました。そして、平成25年12月5日、中小企業の経営者保証に関する契約時及び履行時等における中小企業、経営者及び金融機関による対応の準則として、「経営者保証に関するガイドライン」が策定・公表されました。

1 中小企業が資金調達をしようとする場合
 本ガイドラインによれば、一定の状況を満たす中小企業について、経営者を保証人とすることなく融資を受けられる可能性が高まりました。一定の状況というのは、以下のとおりです。

(1)企業と経営者の関係が明確に区分できていること
 企業の業務、経理、資産所有等に関し、企業と経営者の関係を明確に区分し、企業と経営者との間の資金のやり取りを適切な範囲にとどめるような体制を構築されていること。

(2)一定の信用力を有していること
経営者を保証人としなくとも企業に一定の信用力が備わっていること。具体的には業績の向上。業績が向上すれば、返済能力が高まりますので、現状内部留保に乏しくても、金融機関としては、順調な返済を期待できる。

(3)経営の透明性が確保されていること
 金融機関から、資産等の状況、事業計画の進捗状況等を明らかにするよう求められた際に、企業側が正確かつ丁寧に、信頼性の高い情報を開示、説明する体制にあること。なお、情報の信頼性を高めるために、外部専門家による検証を経た情報を提供することが望ましいとされています。

フランチャイズ契約・加盟の注意点

第1
「月商600万円は固いと勧誘されたのに、実際経営を始めてみると月商300万円にも達しない。家賃や人件費を差し引くと、利益が全く残らない。」と言う問題

(フランチャイズ本部側への提言)
フランチャイズ本部は、契約に際し加盟希望者に対して客観的な根拠や合理性に基づく収益予測等の情報を提供しなければならない(大阪地方裁判所判決平成22年5月12日)

(加盟店(希望者)側への提言)
収益予測等の情報が客観的な根拠や合理性に基づくものか専門家の意見などを聞くなどして十分に吟味すべき。

第2
「契約前の説明では、月1回の訪問指導があるということだったが、何かのついでにたまに不定期にやってくるだけで、しかも内容は雑談程度ですぐに帰ってしまう」と言う問題

(フランチャイズ本部側への提言)
フランチャイズ本部は、加盟店に対し、定期的に一定の経験・知識・能力のある指導員による適切な経営指導を行わなければならない(東京高等裁判所判決平成21年12月25日(なおこの判決はフランチャイズ契約の勧誘を詐欺行為であると断罪している判決でもある))

(加盟店側への提言)
  契約書中にこのような本部の義務が明記されているかを確認して、もし抽象的なことしか書かれていなくても、このような経営指導義務が尽くされているかどうか普段から十分にチェックして記録しておくこと。

第3
「いわゆるオープンアカウントシステムのため、加盟店には売上金の資金運用権がなく、また加盟店からみてオープンアカウントの会計処理が正しく行われているのかわからない

(フランチャイズ本部側への提言)
コンビニエンス・ストアのフランチャイズ本部が,加盟店に代わって支払った商品仕入代金の具体的な支払内容について,加盟店に報告すべき義務を負う( 最高裁判所第2小法廷判決 平成20年7月4日 )

(加盟店側への提言)
商品仕入れ代金額を知ることは経営者として必要な情報です。もし開示されていなければ報告を求めるべき。

第4
フランチャイズ契約締結に際してのその他の重要な注意点
1近隣出店に関する条項
 2中途解約や更新拒絶についての条項
3違約金条項
 4保証人条項

法務・会計・経理等に関するセカンドオピニオンサービス

セカンドオピニオンとは、最善の決断をするために当事者以外の専門的な知識を持った第3者に意見を求めることです。
・相談や質問に対する対応が遅い。
・対策を提案してくれない。
・その料金は適正な範囲なのか
・どうもその対応の内容に納得が出来ない
・他の方法がないか調べたい
・念のため他の意見も聞きたい

等の場合、当事務所において会計士・弁護士(場合によっては共同)によるセカンドオピニオンサービスをご提供しております(要予約)。

貴社の営業秘密は法律で守ってもらえるか

企業における営業秘密には、具体的には、製品の設計図、商品・製品の製法、顧客名簿、販売マニュアル、製法マニュアル、原価やマージンなどの情報などが考えられるが、これらの情報であればそれだけで「営業秘密」であると認められるものではありません。ここに「営業秘密」として認められないという意味は、これらの情報を持ち出した人に対して刑事上の責任も民事上の責任も問えないという意味です。泣き寝入りせざるを得ないと言うことになります。
「営業秘密」として法的保護を受けるためには「秘密として管理されている」(不正競争防止法2条6項)と言うことが必要です。これが認められるためには、
1 
その情報が秘密として管理されていると客観的に認められる状態にあること
2 
その情報が事業活動に利用されて有用なこと
3 
その情報が一般的に入手できない状態にあること
の3要件が満たされることが必要です。

老人ホームの法務 入居一時金

有料老人ホームにおける入居一時金の有効性についての裁判例が
福岡地方裁判所 平成26年12月10日判決
で出ました。
この判例の被告は有料老人ホームや高齢者専用住宅の運営等を業とする大手株式会社です。主な争点の一つとしてその会社が運営している老人ホームの入居契約書中のいわゆる入居一時金条項が消費者たる入居者の権利を害するもので無効ではないかと争われました。
どういう問題かというと、有料老人ホームへの入居については、数千万円の入居一時金を徴収する施設も多く、この老人ホームもそうだったのです。この入居一時金というものは、入居者が、施設の居室等を原則として終身にわたって利用し、各種サービスを受け得る地位を取得するための対価としての性質を持っているとされています。したがって入居者が途中で退去することとなった場合、その差額を返還してもらうと言うことになるわけですが、この返還範囲に関わる返還条項が消費者の権利を害するものであり消費者契約法10条で無効なのではないかと言うことが争われたのです。
この返還範囲については、施設によってばらつきがありますが、通常初期償却条項というものが定めてあり、入居したら直ちに返還に応じられないという条項があるのが普通です。この初期償却の割合が20lという場合、例えば入居一時金が2000万円だったとしたら、その20lである400万円は返還されないこととなるわけです。これは消費者の権利を害するものではないかと言う点と、残りの1600万円については償却期間を決めて毎年償却する(施設側の収入とする)という方法がとられますが、この施設では入居時の年齢にかかわらず一律15年(180ヶ月)としている点も消費者の権利を害するのではないかと争われました。
そして福岡地方裁判所は、上記の入居一時金条項は消費者契約法10条に該当しないとして、当該条項の有効性を認めました。
まだ地裁レベルの判決なので、この問題が決着したと言える状況ではないにせよ、合理性を持つ条項でなければこの判決で述べられる論旨も妥当しないはずであり(条項を持っていなければ論外)、更に本件では争点になっていなかった説明義務の問題も今後の大きな課題になると思われる。
なおこの判例は有名企業で有り、判旨では述べていませんが、全体として契約書は整備されており、説明もしっかりなされていたものと推測されます。

個人営業もコンプライアンス対策(反社会的勢力対応)が必要な時代

1,例え零細な個人営業といえどもも反社会的勢力への対応をしっかりすべき時代がやってきている。 昨今吉本芸人による闇営業の問題がマスコミを賑わせている。現在私が把握している事実関係は以 下の通りである。
  2014年12月に、お笑いコンビ「カラテカ」の入江慎也さん(42)の仲介で振り込め詐欺グループの芸人を仲介・出席させ金銭を受け取っていた件で、芸人らが所属の吉本興業は2019年6月24日、入江さんを解雇し、参加したお笑いコンビ・雨上がり決死隊の宮迫博之(49)ほか10を謹慎処分にした。

2,これは反社会的勢力への対応ということではないのだが、今回問題となった各芸人さんと吉本興 業との間には何ら契約書も交わされていないということも報道されている。そうすると、どうして 解雇できるのだろうか、その解雇原因は何なのか、謹慎処分に付する根拠は何か、と言うことがそ もそも説明付かないのである。各芸人さんと吉本興業との間の契約が雇用契約なのか請負契約なの か詳しいことは何も分からない。それが雇用契約ならばその強制終了は懲戒解雇になるわけだが、 これが法的に正当になされるためには一般の会社同様、就業規則に定められていなければならない。 何の契約書もないというのにどうして懲戒解雇や謹慎処分が可能になるのだろうか?
こういう吉本興業を介さずして個人営業を行ったら、何らかのサンクションを受ける・受けないと 言うことは書面で明確にしておかなければならないと言うことだけは明らかである。
3,さらにこれも反社会的勢力への対応ということではないのだが、今回問題となった各芸人さんと吉本興 業との間には何ら契約書も交わされていないということも報道されている。そうすると、どうして 解雇できるのだろうか、その解雇原因は何なのか、謹慎処分に付する根拠は何か、と言うことがそ もそも説明付かないのである。各芸人さんと吉本興業との間の契約が雇用契約なのか請負契約なの か詳しいことは何も分からない。それが雇用契約ならばその強制終了は懲戒解雇になるわけだが、 これが法的に正当になされるためには一般の会社同様、就業規則に定められていなければならない。 何の契約書もないというのにどうして懲戒解雇や謹慎処分が可能になるのだろうか?
こういう吉本興業を介さずして個人営業を行ったら、何らかのサンクションを受ける・受けないと 言うことは書面で明確にしておかなければならないと言うことだけは明らかである。
4,次に芸人さんたちの行動のどこに問題があったのかと言う点について闇営業と言う点が問題とされることが多い。その意味は吉本興業を介さない独自ルートによる営業活動を行った、と言う点であると理解している。しかし、この点は多くの芸人さんが言っているように、従前よりこれを問題にされることはなかった、と言うことで違法性はないのではなかろうかと考えている。吉本興業から定額の給料の支給がない芸人さんも多いということのようなので吉本興業に属したと言うだけでいわば副業が禁じられると言うことはむしろあまりにひどい契約と言える。もともと何らの契約書も交わしていないならばいわばこういう営業禁止特約のような契約はおよそあり得ないと言うことになる。結局、書面で明らかにしておかないとこういう理不尽な処分を受けうると言うことである。
5、次にいよいよコンプライアンス(反社会的勢力の排除)の問題である。民暴弁護士の立場から言わせていただければ、本件で問題なのは、この許された個人営業を行う際各芸人さんにおいて、反社会的勢力の排除に関する配慮が事前・事後に全くなされていないと言う点である。
 論者によっては「結果論として反社会的勢力の助長に荷担しているから非難に値する」という論調もあるがこれは言いすぎであろう。各都道府県の暴排条例においても、こういう結果論としての責任を課している条例は一つもない。各条令が求めているのは、@相手が反社会的勢力と分かっていながらこれを手助けするような取引・サービスはやめることA取引に入るにあたって反社会的勢力ではないことを確認することB途中で反社会的勢力で判明したときには契約を解消できるようにしておくこと、がその基本である。これでは虚偽を弄する反社会的勢力に利用されかねないという批判も考えられる。それはそうであるが、この場合は前述A(反社会的勢力ではないとの告知)に反することになるので、警察において詐欺罪で立件してもらうと言うことでこれを抑止しようというスキームで対応するしかないのである。
 そうすると本件の吉本芸人さんの問題は前述@の場合であれば、さすがに論外だが、ABの措置を講じていなかったことが最大の問題なのである。
6、今回の報道のコメントで土田晃之さんのコメントだったと思いますが「分かったら帰れます?」
 というのがありました。現在の暴排条項は「反社会的勢力であることが判明した場合には契約解除する」と言う条項が要求されています。従ってその質問に対しては(実際そうできるかどうかは別として)「帰ったと因縁をつけて反社会的勢力から文句が出てもしっかり物が言えるように契約しておいて下さい」と言うことになります。
7,これが従前は損害保険会社とか金融機関とか割と大手の法人に求められていたものであるが今回の吉本芸人さんの事件で零細な個人営業においても求められるような時代になったと言うことを痛感しているのである。
なおこの内容を勉強するためには各都道府県の暴追センターの責任者講習に参加すると概要が理解できるはずである。

新型コロナウイルス禍のもとの中小零細事業者生き残り術

1 新型コロナ対策としていよいよ緊急事態宣言が発令された。この状況において中小零
 細事業者は生命の安全か経済的生き残りかという非常に残酷な二者択一の選択を迫ら
 れている。
2 この状況においての選択は生命の安全であ ると考えている。どうしてか?それは命は
  一度失ったら取り返せないが、経済(お金)は命さえあれば取り返す可能性がある 
 からで ある。図式的に言うと、コロナウイルス感染の問題は自然科学の問題であり、
 現在における人類の知恵では何とも回避・修正できそうにないのに対し、経済的危機 
 というものは債権債務の発生とそれに伴う財貨の移動という社会システム内のルールの
 問題であり このルールは一定の場合に はこれを変更することが可能だからである。
3 筆者としてはこのルール変更は国とりわけ政治部門が法律制定という形で変更すべき 
 だと思うのだがそういうことはこれまで言われたこともない。しかしそうであっても、
 このルール変更の手法はある。具体的には破産・民事再生等の法的債務整理手続制度が
 それである。
4 これが生き残りとどう関係するかというと次のように考えることになる。
今何とか自分の生命を維持するお金を持っているとする(今これが枯渇してしまって 
 いると言う人には、本稿の方法は採れない)。この生命を維持するお金というのは命の
 水である。この命の水は自分や家族の 生命の維持のために使うことを考えるべきであ
 り、決して請求書が来た順番もしくは ルーティンワークのような手法で支払ってはな
 らない。
 そうすると債務が累積するわけであるが、これはコロナ禍が過ぎ去ったあと追いかけ
 て支払う。そしてその債務の処理が自分の手に余るような事態ならば法的整理(民事 
 再生が典型)を行って債権者の法的主張にまっすぐ対抗して再起を図るということに 
 なるので ある。そうするとこういう事態になることに備えるならば、法的整理費用 
 も命の水に加 えておかなければならないことになる。こういうことを専門家の力を借
 りることなしで行うのはやはり無理があると思う。
5 但し以上の方法はギリギリの場合にとる方 策と言うべきものであり無節操に行うと非
難の対象になりかねないことは言うまでもない。

コロナ禍の下において日本国政府が取るべき経済対策

1 本日(2020年4月13日)現在、政府は新型コロナウイルス感染症により影響を受
ける中小・小規模事業者等を対象に資金繰り支援及び持続化給付金等の発表をしている。
しかしこれに対しては、ほとんどの事業者が不満を漏らしている。当然である。200
万円〜100万円の給付を受けても事業の資金繰りとして何とかなるものではないこと
は本当に一部の零細事業者等の例外を除いて当然である。
  それでは政府は中小・小規模事業者等の対策として、どういう考え方で臨むべきで、
そのためにどういう施策をとるべきか、ということについて述べておきたい(尚ここで
述べる提言は先日HP上にご提示した事業者の緊急資金繰りを政府が一括してやってほし
いと言うことでもある)。
2 日本国政府はこのコロナ禍の下での経済対策としてどういう考え方で望むべきかとい
うことであるが、一言で言うと国民個人個人の生存の保証と事業体の生存の保証だけは
しっかりしてほしいということである。ここに個人の生存という意味は、とにかくこの
コロナ禍が一段落するまで生存できるようにするという意味であり、事業体の生存とい
う意味は、例え事業を一旦休止したとしてもコロナ禍が一段落したあとは事業を開始で
きるような対策を講じてほしいと言うことである。したがって事業の売り上げ補償とか
そういう類いのものではない。
わかりやすく言うと戦時下における政府の義務と言い換えても良いかもしれない。戦時
下において各事業所の休業はやむを得ないにしても、戦争が終結したら営業が開始でき
るようにしてほしいと言うことである。あまり多くのものを求めても財政的にも応えら
れない。しかしながらせめて個人および会社の生存の保証だけは政府として行ってほし
いと言うことである。
3 事業体の生存について
まずこの観点からの、事業体の生存についての施策ということである。事業体の生存
の中核は経費で言うと固定経費というもにになり、その固定経費は賃料を中心とする施
設の利用に伴う債務と人件費が主要なものになる。
@まず賃料は少なくともウイルス特別措置法に基づく休業要請期間については全額免除
するか、大幅免除する必要がある。同じくこの施設を銀行等からの借り入れで賄ってい
る場合もあろうがこの借入債務の返済も該当期間は返済免除等をしなければならない。
自家用の建物の場合は固定資産税の免除も必要である。こういう施策を講じない限り事
業者はその維持のため事業所を開けざるを得なくなるのである。
A他方人件費については、まさに法律的措置になる。すなわち当該期間については労働
基準法第19条適用の例外をもうけて、(コロナ問題収束後の再雇用約束等の条件等を
前提に)自由な解雇を認めるべきであり、他方それで解雇された労働者はより簡素化さ
れた方法による失業手当給付により個人の生存を図ると言うことになる。
Bなお前述@のように賃料の免除というとなると、この賃料で生活している人等がいる
わけで、この方をどうするかというと、やはり同じく生存は保証するという意味で一定
額の給付を行うべしということになる。決して賃料全額の保証ではない。またこういう
方も場合によっては銀行から借り入れて施設を建設しているかもしれない。その場合そ
の借入金の返済も免除すべきと言うことになる。
C他面資金力のある大企業も理論上は以上のことは妥当すると考えられる。しかしなが
ら国民の士気にも関わることなのでできれば適用できないとしたいという考えである。
これは法律の問題ではなくもはや政治の問題である。
4 個人の生存について
 個人については賃料数百万円というところにすんでいる方もいることを考えると賃料の
一律免除までは必要だと思わないが、一定の範囲内(10万円までとか)の賃料について
はやはり免除を考えなければならない。少なくとも賃料を支払うために仕事に出なけれ
ばならないと言うことは避ける必要があるからである。他方、テレワーク可能な方や公
務員など賃金のために必ずしも出勤する必要のない方には賃料の減免は不要である。個
人の場合にはバラエティーがあるので何らかの判定が必要になろう。
5 まとめ
 今までこういう方向の議論をあまり目にしたことはない。もっぱら売上げ補償とか、営
業補償といういわば通常通りの営業を前提にした議論ばかりを目にしている。しかし、
こういう考え方もあると言うこともお示しする必要もあると考え微力ながら本稿を執筆
した次第である

新型コロナウイルスと休業手当・事業所閉鎖 Q&A

質問 従業員がコロナウィルスに感染したために休業させるという場合、休業手当はどのようにすべきですか。
回答 令和2年2月1日付けで、新型コロナウィルス感染症が指定感染症として定められたことにより、従業員が新型コロナウィルスに感染していることが確認された場合は、感染症法に基づき、都道府県知事が、当該従業員に対して就業制限(感染症法18条)や入院の勧告等(同法19条)を行うことができることになります。
 新型コロナウィルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により従業員が休業
する場合は、一般的には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しないと考えられるので休業手当を支払う必要はありません。なお、被用者保険に加入されている場合であれば、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。具体的には、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12か月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補填されます。
質問  新型コロナウイルス感染症であることまでの特定はできていませんが、発熱などの症状を示した従業員に対し、就業しようとするのを拒否し、業務命令として帰宅させることはできますか。また、そのように会社が命令して帰宅をさせた場合、賃金の支払いや、休業手当の支払いが必要ですか。
回答 労働基準法26条においては、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」の場合においては、平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わないといけないとされており、厚生労働省は、不可抗力による休業の場合は、使用者の責めに帰すべき事由に当たらないとしており、そのような不可抗力とは、@その原因が事業の外部より発生した事故であること、A事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であることの2つの要件を満たすものでなければならないと解釈しています。
 そのため、一定の諸症状の確認等がなされ、その結果として、使用者として、出社拒否が必要と判断して発出された者であれば、原則として使用者側に帰責事由はないといえます。他方、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討するなど休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、休業手当の支払いが必要となることはありえます。
質問 従業員が発熱などの症状があるため自主的に休んでいます。その場合、休業手当の支払いは必要ですか。
回答 新型コロナウィルスかどうかが分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休む場合には、通常の病欠と同様に扱い、休業手当を支払う必要がなく、病気休暇制度を活用することなどが考えられます。
 他方、例えば発熱などの症状があることのみをもって一律に従業員に休んでもらう措置を、使用者においてとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要がありますが前述のように新型コロナウイルス感染の危険性が極めて強いときには「使用者の責に帰すべき事由による休業」にはならないことになります。
質問 新型コロナウイルスに感染している疑いのある従業員について、一律に年次有給休暇を取得したこととする取扱いに、問題はありませんか。
 また、従業員から、学校の一斉休業に伴い、子どもの面倒を見るために仕事を休まなければならないといわれました。この場合にも、有給を取得させて対応すればよいのでしょうか。
回答 年次有給休暇は、原則として労働者の請求する時季に与えなければならないものなので、使用者が一方的に取得させることはできません。
 なお、後段の質問につきまして、厚生労働省は、臨時休業した小学校や特別支援学校、幼稚園、保育所、認定こども園などに通う子どもを世話するために従業員(正規・非正規を問わず)に、有給の休暇(法定の年次有給休暇を除きます。)を取得させた会社に対し、休暇中に支払った賃金全額(1日8 3 3 0円が上限です。)を助成することになっています。

リーフレット「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」 参照
https://www.mhlw.go.jp/content/000605881.pdf
質問 新型コロナウイルス感染症によって、事業の休止などを余儀なくされ、やむを得ず事業所を閉鎖する場合に、閉鎖された事業所で働いていた従業員に対しどのようにすればよいのでしょうか。
回答 まず、閉鎖された事業所で勤務地限定社員として働いていた従業員を含め、所属従業員が他の事業所で働くことができるかどうかと、本人が他の事業所で働く意思について確認し、配置転換による雇用の維持を検討する必要があります。
 そのような代替の勤務地が見つからない場合には、整理解雇も視野に入れることとなり、整理解雇の4要素(@人員削減の必要性、A解雇回避努力義務を尽くしているか、B人選の合理性、C手続の相当性)を考慮して判断することとなります。
 また、事業所を閉鎖したが、労働契約関係が維持されている場合には、使用者の責に帰すべき休業については、休業手当を支払う義務があります。
 そのため、例えば、海外の取引先が新型コロナウイルス感染症を受け事業を休止したことに伴う事業の休止である場合には、当該取引先への依存の程度、他の代替手段の可能性、事業休止からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力など、諸事情を総合的に勘案し、使用者の責に帰すべき休業であるかどうかを検討することとなります。
質問 新型コロナウイルス対策として地方自治体が事業者に対して事業自粛、事業所閉鎖を要請し、事業者がそれに応じて閉鎖をした場合、会社は新型コロナウイルスに罹患していない労働者に給料を支払う義務があるか?
回答 事業所閉鎖がやむを得ないものかどうかがポイントであり、単に政府・地方自治体からの要請がなされたから、という理由だけでは、「やむを得ない」にはならない可能性があるが、当該事由があるか専門家等と協議を尽くして判断した結果であれば、原則として、給料、休業⼿当、休業補償は不要と言うことになります。。

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